腕や手のシビレやダルさ、小指側のシビレは注意 胸郭出口症候群とは

 

慢性的な肩こりに加え、肩から腕にかけて、首などがだるいという方は、若い方から年配の方まで多くいます。

 

ただの肩こりなら、筋肉疲労を取り除けば解消されますが、肩や腕、首がだるいという体のサインは、実は胸郭出口症候群の予兆かもしれません。

 

放っておくと、肘から手にかけて小指側のシビレや痛み、握力の低下などの不調も起きてしまう恐れがあります。

 

そこで今回は、肩や腕、首の不調の原因となる胸郭出口症候群について詳しくご紹介します。

 

聞きなれない症状名だとは思いますが、体の不調に心当たりのある方は、ぜひ一読してみてください。きっと、症状改善のお役に立てると思います。

 

【目次】

 

 

 

◆胸郭出口症候群とは

「ただの肩こりだと思っていたけれど、痛みが酷く病院で検査したところ、胸郭出口症候群と診断された」という声を耳にすることがあります。

 

しかし、胸郭出口症候群と言われても、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。

 

胸郭出口症候群とは、首から腕に繋がる神経(腕神経叢)、血管などが鎖骨、胸郭の隙間にある胸郭出口で圧迫され、腕や首、肩周りに痛みやシビレを引き起こす症状のことです。

 

・首に位置する前斜角筋、中斜角筋が腕神経叢を圧迫することにより、痛みやシビレを引き起こす「斜角筋症候群

 

・第7頸椎と胸郭で、腕神経叢を圧迫する「頚肋症候群

 

・上部肋骨と鎖骨付近で、腕神経叢や動静脈を圧迫する「肋鎖症候群

 

・小胸筋の異常により、腕神経叢や動静脈を烏口突起(わきの下付近にある小胸筋の付着部)部分で圧迫する「小胸筋症候群

 

の、4つの症候群の総称を胸郭出口症候群と言います。

胸郭出口症候群を発症すると

 

・肩や腕がだるい

・腕、肩、首の痛みやしびれ

・カバンを肩にかけると痛い

・手や指の細かい動作がしにくい

・上肢の筋力低下

・握力の低下

 

といった症状が見られます。
では、次に胸郭出口症候群の原因について説明します。


 

◆胸郭出口症候群の原因とは

胸郭出口症候群は、腕神経叢や首から腕に走る動静脈の圧迫により、発症すると説明してきました。では、なぜ血管や神経の圧迫が起きてしまうのでしょうか。

 

原因として

 

・姿勢が崩れることによる巻き肩

・なで肩

・重いものを持ち運ぶことなどによる、首肩周りの筋肉の酷使

 

などが考えられます。

 

巻き肩になると、体の前側の筋肉が常に圧迫された状態になります。

そのことが原因で、鎖骨の動きを制限し、結果的に前斜角筋が緊張したり、小胸筋が常に緊張した状態になってしまいます。

 

なで肩だと、常に首や肩周りの筋肉が下方に引っ張られた状態になり、筋肉の緊張を起こしやすくなります。また、鎖骨が本来の位置よりも、下方にずれ込みやすくなり、胸郭出口の圧迫を起こしやすくしてしまうのです。

 

 


 

◆胸郭出口症候群のセルフチェック法

肘から手にかけて、小指側のシビレや痛みがある、握力が低下しているといった症状が出始めていると、胸郭出口症候群を疑って間違いないと思いますが、首や肩、腕がだるい、痛みがあるといった症状では、なかなか胸郭出口症候群かどうか、自分では判断できないと思います。

 

そこで、胸郭出口症候群のセルフチェック法を紹介します。

 

まず、腕を水平に横に挙げて、肘を直角に曲げます。

 

その状態で、手を握る動作、開く動作を繰り返します。

3分ほど繰り返し行い、その際にシビレや痛みが出る場合は、胸郭出口症候群の可能性があります。

では次に、胸郭出口症候群の一般的な治療法について紹介します。
 

◆胸郭出口症候群の一般的な治療法

胸郭出口症候群の一般的な治療法として

・温熱療法

・ブロック注射

・牽引療法

・リハビリ療法

・手術

があります。

 

温熱療法では、緊張の強くなった首肩周りの筋肉を温めることにより、血流を促進し筋肉を弛緩させることを目的に行います。

 

筋肉が弛緩することで、圧迫を起こしていた腕神経叢や動静脈への負担を軽減させ、胸郭出口症候群による症状を軽減させます。

 

温熱療法は対処療法であり、胸郭出口症候群を根本的に解消することにはならないので、一時的に症状が治まったとしても、再発するケースもあります。

 

 

ブロック注射は、痛みやシビレの原因となっている神経の周辺に局部麻酔を打つことにより、痛みを緩和する治療法です。

ブロック注射も、痛みを紛らわすだけなので、根本的な治療にはなりません。

 

 

牽引療法は、機械により首を牽引する治療法です。

 

牽引と弛緩を繰り返すことにより、首周りの筋肉をポンプのように動かすことによって、弛緩させるというものです。

頸椎ヘルニアの治療にも用いられますが、胸郭出口症候群にも有効な治療法として用いられます。

 

リハビリ療法は、鎖骨や肩甲骨、胸郭周りのストレッチを行うことにより、胸郭出口周辺の筋肉を弛緩させ、骨格を正しい位置に調整する治療法です。

 

手術は、他の様々な治療を行っても良くならない、先天的に骨格に異常がある方に行います。

胸郭出口症状群の手術では、神経や血管に圧迫を起こしている周辺の筋肉の癒着を剥がし、圧迫を起こしている骨を削るなどの処置が施されます。


 

◆胸郭出口症候群に対する東葉コンディショニングの施術の考え方

それでは、整体院東葉コンディショニングの胸郭出口症候群に対する施術の考え方について説明します。

 

胸郭出口症候群の症状を解消するには、胸郭出口で起きている腕神経叢や動静脈への圧迫を軽減させることが重要になります。

 

胸郭出口で起きている圧迫をなくすには、骨格全体の調整と鎖骨や胸郭の調整を行う必要があります。

では、鎖骨と胸郭の関係性を見ていきましょう。

 

 

図のように、鎖骨や肩甲骨は、胸郭に対して上から被さるように位置しています。

 

胸郭が整っていると、鎖骨や肩甲骨も正しい位置に乗ることができますが、胸郭が歪んでいると、鎖骨や肩甲骨も本来の位置からずれ、歪んでしまいます。

 

鎖骨や肩甲骨には、首や肩に関連する多くの筋肉が付着していますが、鎖骨や肩甲骨が正しい位置からずれると、その付着している筋肉も常に緊張した状態になってしまうのです。

 

ですので、鎖骨や肩甲骨を正しい位置に戻すために、まずは胸郭の歪みを整えることが重要になります。

 

では、胸郭の歪みを整えるには、どうすれば良いのでしょうか。

 

人間のカラダを家で例えてみましょう。

 

 

骨盤は、家に例えると土台、背骨は柱、胸郭は屋根のようなイメージになります。

家の土台が崩れると、その上に位置している柱や屋根まで崩れるように、骨盤が歪むと背骨や胸郭もおのずと歪んできてしまいます。

 

そのため、胸郭を安定させるには、土台となる骨盤から正しい位置に調整する必要があるのです。

 

このように、胸郭出口症候群の症状を根本的に解消し、再発しない体にするためには、胸郭出口でなぜ圧迫が起こってしまっているのかを突き止め、全身の骨格バランスを整える必要があります。

 

整体院東葉コンディショニングでは、胸郭出口症候群により痛みやシビレが出ている腕や肩、首、その原因を作り出している鎖骨周りの調整だけではなく、その方の生活背景や日常での体の使い方のクセに着目します。

そして、体の歪み方を把握し、体全体のバランスを整え、各機能が正常に働くように施術を行っていきます。
 


 

◆胸郭出口症候群に対する東葉コンディショニングの施術法

次に、整体院東葉コンディショニングでは、胸郭出口症候群に対して具体的にどのような施術を行っていくのかを説明します。

 

「脊柱の生理弯曲の正常化」

 

胸郭出口症候群では、ほとんどの場合、背骨の生理弯曲が崩れ、猫背や巻き肩になっています。

 

背骨は、体重の10%といわれる頭の重さを支えています。成人の頭の重さは6~8kg = ボーリング玉の16ポンド(7.2kg) 。その頭の重さを支えているのが、脊柱の生理弯曲と言われるS字カーブの構造です。

 

 

この動物の中では人間だけにあるS字カーブは、バネの役割をし、衝撃を和らげたりバランスをとったりしています。

その中でも重要なのが、腰椎と仙骨が接する部分に適度な角度がついていることです。

 

 

この角度によって、理論上体重の約3倍の重力が加わるはずの仙骨部分の力が、分散吸収されるのです。このように、腰部の生理弯曲を本来の形にすることは、その上にある胸部や頚部を安定させることにつながります。

 

 

整体施術では、脊柱の生理弯曲の正常化を図るため、施術台に上半身の半分程度が乗るように、四つん這いの姿勢になってもらいます。

 

四つ這いの姿勢をとることで、内臓から骨盤に掛かる圧迫を一時的に緩和することができ、骨盤周りの調整や生理弯曲の形成が行いやすくなります。

 

この姿勢では、体の前側に重力が掛かるため、後弯していた腰部脊柱が徐々に前弯を取り戻し、元の自然なS字カーブが形成されていきます。

 

 

 

生理弯曲が正常化することで、重心バランスの安定から重力を骨格全体で無駄な力を使わずに支えることができます。そのことで、日常生活でも体に負担を与えない状態に保つことができるのです。

 

 

「股関節の可動調整」

 

生理弯曲を整えた後は、股関節の調整を行います。

股関節は、歩行時や立位時に常に負担のかかっている関節です。

 

重心バランスが崩れたり、歩行に左右差があると、可動域に左右差が生じ、股関節周りの筋肉への負担も左右で異なってきてしまいます。

股関節は、骨盤に接する大きな関節で、強靭な筋肉や靭帯の付着部でもあります。

 

 

股関節に左右差が出てきてしまうと、同時に骨盤を歪ませてしまい、結果的に胸郭や鎖骨にまで影響を与えてしまいます。

 

そのため、股関節の調整で左右差をなくし、骨盤の安定を図ります。

 

 

「骨盤調整シムス位」

 

うつぶせで脚を開いた状態にし、骨盤をゆっくり揺らしていきます。左右同じようにおこなうことで、骨盤のゆがみが整えられていきます。この手法で、骨盤のゆがみを整え背骨の動きを改善し、さらに腰背部の筋肉の緊張をとっていきます。

 

 

「胸郭の調整」

背骨と骨盤を調整した後は、バランスの崩れた胸郭の調整を行います。

 

 

「腕・肩の捻じれ、鎖骨の調整」

胸郭出口の圧迫は、肩から腕の捻じれが大きく影響します。

そのため、肩から腕の捻じれを解消した後に、鎖骨周りの筋肉の緊張をとり、鎖骨を正しい位置に調整していきます。

 

 

「頸椎の調整」

最後に、首周りの筋肉を緩めながら頸椎の調整を行います。

頸椎の調整を行うことにより、前斜角筋や中斜角筋による腕神経叢や動静脈の圧迫を解消し、再発しない状態にします。

 

 

ここで、実際に胸郭出口症候群で来院された方の症例を紹介します。

 

◆胸郭出口症候群で来院された方の症例を紹介!

胸郭出口症候群による手のシビレで夜も眠れず、趣味も楽しめない

浅草橋 60代男性 Oさん

 

夜寝ている時に手のシビレで目が覚めてしまう、趣味のゴルフもシビレが強くて楽しめないと悩み、整体院東葉コンディショニングに来院されたOさん。

 

Oさんは、以前から腕や肩にだるさはあったものの、特に気にせず過ごしていたのですが、シビレまで出始めて心配になり病院で検査してもらったところ、胸郭出口症候群と診断されたそうです。

 

 

体の状態を診ると、猫背で巻き肩になっていて、肩や鎖骨周りの筋肉の緊張が強くなり胸郭出口症候群の症状が出ているようです。

 

そこで生活習慣を聞くと、寝る時はいつも手のシビレが出ている右腕を下にして横向きに寝ていたり、デスクワーク時も背中を丸めパソコンに向かっているとのことでした。

 

1回目の整体施術では、まずは背骨の生理弯曲と骨盤の調整を行い、強い緊張が出ている鎖骨周りの調整を中心に行いました。

整体施術後は、手のシビレが軽減していました。

 

2~4回目の整体施術では、まだまだ鎖骨周りの緊張が強く出ていたため、鎖骨周りの筋肉の弛緩と骨格調整を中心に行いました。

 

5回目の整体施術の頃には、手のシビレも落ち着き、腕や肩のだるさもほとんど気にならなくなり、夜間起きることもなくなったと喜ばれていましたので、通常通りの施術に加え、症状が再発しないように、体に負担をかけない姿勢のアドバイスや、自分でカラダのバランスを整えるエクササイズを覚えてもらいました。

 

現在も、胸郭出口症候群の症状が再発しないよう定期的に来院され、趣味のゴルフを毎週のように楽しまれています。

 

※こちらは個人の感想です。あくまで結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

 

◆自分でカラダのバランスを整えるエクササイズ紹介!

 

ここで、胸郭出口症候群を予防・改善するための、体のバランスを整えることができるエクササイズを紹介します。

 

・足組みゆらゆらエクササイズ

このエクササイズを行うことで、体の土台となる骨盤の歪みを解消させることができます。

 

・胸郭回旋エクササイズ

このエクササイズを行うことで、胸郭周りの筋肉の緊張を弛緩しながら、胸郭の歪みの調整を行うことができます。

 

・肩甲骨寄せエクササイズ

 

このエクササイズを行うことで、前方に入った肩の位置を調整し、肩甲骨や鎖骨の可動域を改善することができます。

 

以上のエクササイズを行うことで、胸郭出口症候群の原因となる胸郭の歪みや肩甲骨、鎖骨の調整を行うことができます。

 

首や肩、腕のだるさや痛みがある方は、ぜひ試してみてください。

 

※エクササイズは痛みのない範囲で行ってください。

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

胸郭出口症候群の症状は、握力の低下や手のシビレといった重度の症状から、腕や肩のだるさといった軽度の症状まで様々です。

 

既に胸郭出口症候群と診断されている方、似たような症状が出ていて予防したいという方は、お気軽に整体院東葉コンディショニングまでご相談ください。

 

 

 

Writer

小橋 悟

【資格】
・ 脳と身体の整体療法「QPR法上級認定」
・ ブレイン&ボディバランス研究所  会員
・ NPO法人日本心理カウンセラー協会 会員

子供の頃から母親のカラダの不調を見ていて、 施術家の道を志す。
現在は、月間約400回の施術をしながら、八千代院の院長を務めている。

ここまで磨き上げてきた施術技術・知識に加え、優しい人柄で、来院者さんからの信頼も厚い。

当社が開催するトップランナー整体実践塾やQPR法ベーシック講座、センターラインインソール資格取得セミナーなど、同業の治療家に対しての技術講師も担当している。

その功績を認められ書籍「腰痛解消!神の手を持つ12人 令和元年版」の1人に選ばれる。

   
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