健康への意識が高くなっているからか、数年前からランニングブームですよね。
街を歩いていても、走っている方の姿はよく見かけます。
ランナーが増えている半面、ジョギングをすると腰が痛くなる、ランニングして腰を痛めたなど、走っていて腰痛になったという声は少なくありません。
ではなぜ、ランニングで腰痛になってしまうのか、今回はその原因と改善策をご紹介します。
【目次】
◆歩行と走行の違いとは?
当たり前ですが、ランニングは「歩行」ではなく「走行」にあたります。
走行の特徴には、「両足が地面に接地していない時間が存在する」というものがあり、これを「同時遊脚期」といいます。
逆に、歩行の特徴である「両足が地面に接地する」ときを「両脚支持期」といいます。
この同時遊脚期の時間は、走る速さによって異なります。
50m走や100m走など短距離では、つま先から着地し、かかとは接地することなくそのまま蹴り出す場合もあります。
しかし、長距離を走るランニングでは、かかとや中足部で接地した後に、足の裏全体で使い蹴り出す動きになります。
このように、走行の速さの違いが足と地面との接地に差を作るのはわかりましたが、では、かかとから着地するランニングで腰を痛める人が多いのはなぜなのでしょうか。
それは、「接地時の衝撃」が関係しています。
◆背骨の役割
人間の背骨は、前後から見ると真っ直ぐですが、横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。これを「生理弯曲」といい、2足歩行をする人間には必要不可欠なものです。
この生理弯曲がスプリングの役割をすることで、人間は重力により上から掛かる重みと、地面から受ける下からの衝撃を吸収・分散させることができるのです。
走行時に足が地面と接地する瞬間の衝撃は、体重の約4倍になるとも言われています。
背骨の生理弯曲が崩れた状態で長時間ランニングを続けた場合、その衝撃を緩和できないままダイレクトに受け取ることになるため、腰や背骨には相当な負荷がかかることが想像できます。
そんな大切な背骨の生理弯曲に影響を与えるのが、骨盤の前傾・後傾です。
たとえば、土台が傾くとその上の建物がグラつくように、身体の土台である骨盤が傾けば、その上の背骨も大きな影響を受け、歪んでしまいます。
その結果、生理弯曲が崩れてしまうのです。
◆骨盤の前傾は反り腰?
無意識のうちに腰を必要以上に反らせて走っていませんか?腰を反りながら走ることで、腰に大きな負荷がかかり、腰痛の原因となってしまいます。
では、なぜ腰を反ってしまうのでしょうか?
人は、加速するときに自然と腰が反ってしまう作りになっています。腰を反ること自体は普通ですが、反りすぎると痛みに繋がります。
反り過ぎてしまう原因としては、筋力や柔軟性の低下、体型の変化が挙げられます。
例えば、腹筋。腹筋は骨盤の前傾を抑えるような働きをしているので、腹直筋をはじめとする腹筋群の筋力が低下してしまうと、骨盤の前傾が強くなってしまいます。
また、骨盤の内側にある腸腰筋や、太ももの前側にある大腿直筋の柔軟性が低下し、硬くなると骨盤の前傾が強まります。
太ってお腹が出ることも、反り腰の原因のひとつ。お腹が出ると重心が真ん中よりも前によってしまい、お腹の重みを支えて立とうとするため、無意識に腰を反らせて立ってしまうのです。
◆骨盤の後傾と腰痛の関係
骨盤が後傾してしまうと、背中が丸まり猫背になりやすく、お尻がぺたんこに見えてしまいます。
中でも後傾タイプの人は、前傾タイプよりも腰痛が起きやすいと言われています。
骨盤が後傾して腰の反りが少なくなると、背中にある脊柱起立筋という筋肉が常に伸ばされている状態になります。
筋肉は、伸ばされた状態で力を入れた時に最も負担がかかります。身体を前に倒すと腰が痛いという人は、これに当てはまると言えるでしょう。
また、骨盤の後傾は、後ろに寄りかかる形になってしまい、特に、背骨の一番下にある腰椎の関節に負担がかかってしまいます。
すると、骨盤前傾タイプと同じように、腰を反らせても痛い、ということになってしまいます。
さらに、背骨の前部にある椎間板も、腰の反りが少なくなることで負担がかかります。
椎間板は、体にかかる衝撃や負荷を吸収するクッションの役割をしていますが、椎間板への負荷がさらに増えると、腰椎椎間板ヘルニアになるなど、重症化してしまう恐れがあるのです。
ではなぜ、後傾してしまうのでしょうか。それは、普段の姿勢が大きく関係しています。
左が通常姿勢、右が猫背姿勢です。
猫背の方をみると、背中を丸ませ、骨盤を後傾していることがわかります。日常的にこんな姿勢をしていたら、ランニングの時も骨盤を後傾させたままで走るわけですから、負担は大きくなりますよね。
お仕事や勉強などのような、長時間座って行う作業は特に背中が丸まりやすく、徐々に猫背姿勢へと変わってしまいます。
猫背を改善・予防するためには、まずは座り方から気をつけてみましょう。
腰痛と座り方の関係について、詳しくはこちらをご覧ください↓
◆股関節の固さも腰痛の原因に!?
ランニング時に起こる腰痛は、骨盤の歪みに限らず、股関節も関係してきます。
当たり前ですが、ランニングは足を交互に前へ出す「前後運動」によって行われます。
この時、股関節が柔軟であれば腰の位置は一定のまま足を前後させることができます。
しかし、関節が固く動きが悪いと、腰を反らさなければ足を後ろに運べず、大きな負担がかかってしまいます。
そのため、なるべく腰をまっすぐにした状態でランニングをすることが腰痛の予防になるのです。
対策としては、普段から股関節を動かす習慣をつけましょう。
デスクワークなどで座りっぱなしでいると、体重が股関節にずっとかかり続けるため、固くなる一方です。
お風呂上がりに整体ストレッチを行うことを習慣にするなどして、少しずつ柔軟性を高めていきましょう。
◆その他の腰痛発生要因
ここまで、ランニング時の腰痛の原因を述べてきました。
では、身体の歪み以外にも様々ある、ジョギングが身体に与える負の要因を見てみましょう。
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内的要因(ランナー自身が持っている問題)
・年齢
・肥満
・アライメント不良…身体の歪みがある
・性別
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外的要因(ランニングをしていいる環境の問題)
・走行距離…自分の身体の状態を把握せずに無理な距離を走る
・ジョギングフォーム
・シューズ…裏がすり減ったシューズを使っているなど
・走るコース…いつも同じコースを同じ回りで走っている(トラックや周回コース)
このような要因が加わると、身体への負荷はさらに増えます。それゆえ、腰痛を始め様々な身体の不調を起こしかねません。
こうした走行時に生じた不調を「ランニング障害」といいます。
◆ランニング障害の種類
ランニング障害と一言で言っても、実際にはたくさんの症状があります。
【腰・股関節】
・腰痛
・恥骨結合炎
・恥骨疲労骨折 など
【膝】
・ランナーズニー(腸脛靭帯炎)
・膝蓋靭帯炎
・鵞足炎 など
【下腿部】
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
・脛骨疲労骨折
・腓骨疲労骨折 など
【足部】
・アキレス腱炎
・中足骨疲労骨折
・足底筋膜炎 など
こうしたランニング障害のほとんどは、腰痛と関係ないように見えます。しかし、下肢を痛めてしまうとそれをかばい、そのために腰痛を引き起こしてしまう方がたくさんいらっしゃいます。
逆に腰痛をかばい、下肢を痛めるケースもありますので、身体に不調が生じたときは、放置せずに対処する必要があります。
まずは、整体で身体を整え、症状改善に向けてストレッチでケアしていきましょう。
◆骨盤を矯正する整体ストレッチで腰痛改善
上記でも説明したように、ランニング時に起きる腰痛は、骨盤や背骨の歪みが原因となるケースが多くあります。
そこで、整体院東葉コンディショニングでは、施術で身体を整えるだけでなく普段からセルフ整体ストレッチしてもらうことで、早期回復を図っています。
ここでは、その一部のストレッチをご紹介します。
<ひざ抱えゆらし>
ひざを抱えて、椎間板の柔軟性を出し、背中の筋肉を弛めるストレッチです。
特に反り腰の人は、骨盤を前傾させ、背中を反らしているため、腰背部が硬く詰まっています。簡単なストレッチですが、身体の状態によっては痛みを伴う場合もありますので、無理のない範囲で行いましょう。
<四つんばい肩甲骨はがし>
猫背の方は、次のストレッチがおすすめです。
①四つんばいになり、股関節と肩の角度を90度にします。足幅は肩幅と同じくらいに開き、つま先を立てます。
②腕を支柱にして肩甲骨を剥がすように体を寄せていきます。左右10回程度行いましょう。
健康づくりで親しまれているランニングですが、普段の姿勢が原因で腰痛を引き起こしてしまうことがあります。
楽しみながら走れるよう、今の腰痛が今後悪化しないよう、早め早めの対応が早期回復の大きな1歩になります。
腰痛でお悩みの方は、是非整体院東葉コンディショニングにご相談ください。