デスクワークのような仕事柄座りっぱなしの方から、「腰痛で悩んでいる」という話を多く耳にします。
放っておくことでその腰痛が慢性化し、痛みに慣れてしまったという方も多いのではないでしょうか。
腰痛のケアのためにストレッチを行うことも大切ですが、実は食事の面からでも腰痛を改善する方法はあるのです。
今回は、腰痛とも密接な関係のある「タンパク質」をご紹介します。
【目次】
◆腰痛の原因
腰痛の主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
・筋肉のつっぱりや炎症によるもの
・重いものを持ったとき、体を急にひねったとき(ぎっくり腰)
・骨ができあがっていない成長期のスポーツのしすぎ(腰椎分離症)
・加齢によって骨がもろくなる(骨粗鬆症)
・尻もちなどがきっかけとなる(圧迫骨折)
・毎日の腰への負担が積み重なる(腰椎椎間板ヘルニア)
普段から長時間のデスクワークや、同じ姿勢をとり続けるという方に多い腰痛の原因が、「筋肉のつっぱりや炎症によるもの」です。
特にパソコン作業のようなデスクワークでは、肩が前に入り、背中も丸くなる、いわゆる「猫背」と呼ばれる姿勢になりがちです。
この猫背姿勢は、肩や背中の筋肉が緊張するだけではなく、股関節の動きに大きく関係する「腸腰筋」というお腹の筋肉も固くしてしまいます。
その結果、骨盤が歪んだり腰の可動域が制限されることから、腰痛を引き起こすことがあるのです。
◆タンパク質を材料とする筋肉
人の体を作っている成分は、水分が約60~70%、次いでタンパク質が約20%、炭水化物は約0.5%と、タンパク質は水分の次に多く存在している栄養素です。特にタンパク質は、筋肉のほとんどを形つくっています。
食事などで体に摂り入れたタンパク質は、一度アミノ酸に分解されて筋タンパク質を合成することで、筋肉を作り上げるという仕組みです。
この「筋タンパク質」というのは、筋肉を構成するタンパク質のことをいい、筋肉が収縮する際に重要になってくるのです。
「筋肉」と聞くと、アスリートやバリバリ運動をしている人の印象が強いかもしれません。しかし、筋肉はスポーツ選手のパフォーマンスアップだけではなく、健康的な生活を送るためにも必要です。
腸腰筋や背骨を支える筋力が不足すると、腰痛の原因にもなるため、普段の生活の中でタンパク質の摂取を意識するようにしましょう。
◆タンパク質の必要量
タンパク質を積極的に摂っても、食事で摂ったタンパク質のすべてが筋肉に使われているわけではありません。タンパク質は、皮膚や臓器、細胞など、人の体の多くを構成しているため、常に一定量を必要としています。
厚生労働省が定めた、日本人の摂るべき栄養素が示されている「日本人の食事摂取基準」では、成人のタンパク質の推奨摂取量は、男性60g/日、女性50g/日となっています。
日常の食生活の事例で、どれくらいのタンパク質を摂ることができているか見てみましょう。
・ごはん1杯・・・3.0g
・牛もも肉100g・・・19.5g
・納豆1パック・・・12.4g
・牛乳1杯・・・6.5g
合計41.4g
実は、タンパク質を含んでいる食材は多く、1食でもこれだけの量を摂ることができます。肥満傾向にある人は、過剰摂取になっていることが多いのです。
しかし、この「日本人の食事摂取基準」は年齢だけの区分で、体重などの体型が考慮されていません。痩せ型と肥満型、さらに普段運動をしている人などでは、明らかに筋肉量が違いますよね。
筋肉量が異なれば、材料となるタンパク質の必要量も異なります。そのため、より自分に適したタンパク質量の目安としては、体重1㎏に対して1.0~1.8g程度と考えるとよいでしょう。
一見、大きな幅があるように感じますが、普段運動をしていない人は筋肉量が少ないため、体重1㎏あたり1.0gのタンパク質でも維持できるというわけです。
<タンパク質を多く含む食材>
煮干し、卵、牛乳、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、マグロ、鮭、いわし、チーズ、アサリ、うなぎ、アーモンド
◆効率のよいタンパク質摂取方法
タンパク質を多く含む食材には、肉・魚・卵のような「動物性タンパク質」と、文字通り植物に含まれる「植物性タンパク質」の2種類があります。それぞれの特徴には、以下のようなものが挙げられます。
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〈動物性タンパク質〉
肉や魚から摂ることのできるタンパク質です。他にも、牛乳の分解物や卵白にも含まれています。動物性タンパク質の良いところは、「必須アミノ酸」を含んでいることです。
「必須アミノ酸」は、タンパク質を合成するのに必要ですが、体内で作ることはできません。そのため、必須アミノ酸を豊富に含む動物性タンパク質を食事などによって摂取する必要があります。
一方で、肉や魚には脂質も多く含まれているので、栄養バランスに注意して摂取する必要があります。
- 〈植物性タンパク質〉
植物性タンパク質には、大きく分けて「大豆タンパク質」と「小麦タンパク質」があります。「大豆タンパク質」には、豆腐やきなこ、豆乳などがあります。
「小麦タンパク質」は、小麦粉からタンパク質だけを抽出してつくられる食品で、お麩などがあります。
植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べて、脂質が少ないため、低脂肪・低カロリーの食事には最適です
。しかし、植物性タンパク質だけでは、「必須アミノ酸」を補うことができないので、動物性タンパク質と組み合わせて食事に取り入れていきましょう。
◆まとめ
腰痛を改善するには、ストレッチや姿勢だけではなく、食事も関係することをおわかりいただけたでしょうか?
特に、筋肉の緊張や加齢に伴う筋肉量の減少など、筋肉が関係している腰痛では、タンパク質の摂取が重要となってきます。
タンパク質が多い食品は、脂質も多い場合があるので、栄養価のバランスに注意しながらタンパク質を摂取して、腰痛を改善していきましょう。