「ぽっこりお腹で腰痛」という方は少なくありません。
脂肪がお腹周りについているから重くて腰痛が……、などと思っている方がほとんどではないでしょうか?
しかし、いくらダイエットしてもお腹は変わらず、痛みも変わらないという場合もあります。中には、全体的には太っていないのにお腹だけ出ている人、逆に、太っていてもお腹があまり目立たない人だっているわけです。
ということは、ぽっこりお腹の原因は他にあるということになりますよね。実は、このぽっこりお腹の原因が、腰痛と大きく関係しているのです。
今回は、腰痛の原因にもなるぽっこりお腹(反り腰)の改善ストレッチをご紹介します。
【目次】
◆ぽっこりお腹の原因は骨盤の歪み?
「体重は平均的、なのになぜかお腹は出ている」原因は、骨盤の歪みかもしれません。
ではなぜ、骨盤が歪むことでぽっこりお腹になってしまうのでしょうか。
まず、骨盤は主に「腸腰筋」という筋肉によって支えられています。
腸腰筋は、背骨の横から太ももの大腿骨をつないでいる「大腰筋」と、骨盤と大腿骨を結ぶ「腸骨筋」からなります。深層にある筋肉、いわゆるインナーマッスルと呼ばれるもので、腹筋とは違って触れることは出来ません。
骨盤を支える以外にも、階段を昇るときや広い歩幅で歩くときなど、股関節を大きく曲げ伸ばしするために欠かせない重要な筋肉です。
この筋肉が衰えてしまうと、骨盤はグラグラと不安定になり、歪みが生じてしまいます。
特に、ぽっこりお腹の原因といわれているのが「骨盤前傾」です。骨盤が前に倒れることで、背骨も同様に前へ出るため、必然的にお腹を突き出すような姿勢になります。
その姿勢が、お腹が出ているように見える場合があるのです。
また、骨盤は「内臓の守り役」とも言われています。骨盤は、膀胱や腸といった内臓を包み込むように位置しています。
しかし、骨盤が前傾していると、その上にある内臓を支えきれなくなり、内臓が下に降りてきてしまいます。これが「内臓下垂」です。骨盤前傾に加え、内臓が下に降りてくる事でぽっこりお腹となるのです。
「筋肉が衰えるのは歳のせい」と思いがちですが、これは若い年代の方にも当てはまります。では、腸腰筋はどのように衰えるのでしょうか。
◆姿勢の悪さが骨盤の歪みを招く
腸腰筋を衰えさせてしまう身近な原因は、姿勢の悪さです。
まず、背骨は生理弯曲と呼ばれるカーブを描いており、横から見た時に真っ直ぐではありません。
腸腰筋は立っているとき、骨盤を前に傾け、黄色い部分の腰椎を前弯(前に凸)させた状態を保持する役割があります。しかし、大腰筋が衰えていたり、硬くなっていると支えが不安定になるため、骨盤は過度に前傾してしまったり、逆に後傾して歪んでしまいます。
骨盤が歪めば、その上にある背骨もバランスをとるために歪むため、正常な位置にない骨盤と背骨を支えようと、腰に大きな負担がかかります。
では、座っているときはどうでしょう。
「座り姿勢」とは、「股関節を曲げて腰を下ろした状態」です。つまり、大腰筋を縮めた状態で、動きをとめて使っていることになります。
短時間であれば負荷はあまりかかりませんが、これが長時間続いたらどうでしょう。特にデスクワークなど、長時間座ることが毎日のように続くと、縮んだまま硬くなってしまいます。すると、硬くなった腸腰筋は骨盤を支えるという本来の働きができないため、骨盤は後ろに倒れ背中が丸まってしまいます。
背中が丸まった「猫背」姿勢も、腰背部の筋肉が伸ばされた状態のため、繰り返すと腰痛の原因になります。そのため、腰痛を防止するには、骨盤を立てて座る必要があるのです。
座り方についてはコチラの記事をご覧下さい↓
https://toyoconditioning.com/blog/youtsu-yobou-suwarikata/
◆骨盤の歪みで生じる不調
骨盤が歪むことで内臓下垂が起き、ぽっこりお腹になってしまうことは上記でも述べましたが、健康への影響はそれだけではありません。起こりやすい不調を見てみましょう。
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●身体が冷えやすくなる
内臓が下がると、お腹の中で内臓同士が重なり合うような状態になってしまいます。内臓だけでなく、その周りの筋肉なども圧迫され、血流悪化から冷えやリンパの滞りの原因になります。
また、筋肉不足による内臓下垂が原因の場合、熱を生み出す筋肉自体が足りないので、冷えはますます悪化します。血行不良や冷えから内臓の働きが悪くなったり、腰痛だけでなく頭痛や肩こりなどの症状も悪化させてしまいます。
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●太りやすくなる
骨盤の歪みや内臓下垂による冷えや内臓の働きの低下は、基礎代謝を低下させてしまいます。エネルギーを充分に消費できないために脂肪が付きやすくなり、痩せにくく太りやすい身体になってしまいます。
さらに、人間の脳には、身体が冷えていると体温を保つために脂肪を蓄えようとする働きがあります。特に、女性の場合は赤ちゃんを育てる子宮や卵巣を守るために、お腹に脂肪が付きやすい傾向があるため、下腹にどんどん脂肪が付いてしまいます。
また、胃や腸など消化器官の働きが悪くなると、消化・吸収がスムーズに行われなくなります。そのため、消化不良による便秘や、本来なら吸収する必要のない無駄な栄養素まで吸収してしまい、太りやすくなるというケースもあります。
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●胃の不調
胃の位置が下がった「胃下垂」になると、消化不良を起こしやすく、食事をしなくても胃もたれや胃のムカつきを感じるようになります。そのため、食欲がなくなったり、食が細くなってしまいがちです。胃下垂の方の多くが痩せているのは、こういった理由からなのですね。
痩せてはいても、胃が下がっている分お腹がぽっこり出てしまうのは防げません。
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●生理痛の悪化
子宮は、骨盤の前後左右を結ぶ靭帯によって、骨盤の中に宙づりされるように納まっています。靭帯の付け根は骨盤に繋がっているため、骨盤が歪むと一方の靭帯の張りが強くなってしまいます。
さらに、上から内臓が下りてくると、その重みで子宮も押し下げられ、拍車をかけるように靭帯の張りを強めてしまいます。この靭帯の張りが痛みの発生源になります。
ぽっこりお腹で生理痛がひどい場合は、こういった不調が重なっていることがあります。
◆ぽっこりお腹の人のほとんどが反り腰!?
お腹がぽっこり大きくなっているということは、重りを身体の前側に付けているのと同じです。さらに、お腹は前に突き出るようになっているため、重心も前側にかかります。
しかし、そのまま身を任せてしまうと前に倒れてしまうため、無意識に腰を反らすことで重心を真ん中に戻し、バランスを取っているのです。
こうした反り腰の姿勢でいると、腰回りの筋肉を必要以上に使うため、腰への負担が大きくなります。ここに脂肪が増えると、お腹に重みがさらに加わるため、腰痛になっても何の不思議もありません。
また、強い反りの角度が椎間板にかかる圧を大きくしてしまうため、腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高まることも考えらます。
腰椎椎間板ヘルニアについて詳しくはコチラの記事をご覧下さい↓
◆ぽっこりお腹で腹筋トレーニングをすると腰痛が悪化?
腰痛解消のために腹筋を鍛えればいい、と耳にすることがあります。しかし、腰痛の人、さらにぽっこりお腹の人がいきなり腹筋をすると、腰痛を悪化させてしまうことがあります。
なぜ、悪化してしまうのでしょうか。
ぽっこりお腹の人は、上記のように反り腰が強い傾向にあります。お腹を伸ばして腰を反らせた姿勢が反り腰になりますが、腹筋はこの真逆の動作をするため、腰に大きな負担がかかるのです。
日常的に反り腰でいると周りの筋肉が硬くなり、その姿勢が固定されてしまいます。そんな状態でいつもと真逆の動きをしたら……。硬い筋肉が無理矢理引っ張られてしまえば、腰痛が起きてもおかしくないですよね。
運動をして筋力をつけることも大切ですが、まずは骨盤を整えて、痛みのない状態で運動ができるようにしていきましょう。
◆腰痛とぽっこりお腹解消ストレッチ
ぽっこりお腹の特徴として、上記で紹介した反り腰の解消ストレッチをご紹介します。反り腰は、骨盤が前傾している状態ですので、骨盤の歪みを整えるのはもちろんのこと、その歪みを解消するために周りの筋肉の緊張を和らげる必要があります。
さっそく今日から実践してみましょう。
<骨盤コロコロストレッチ>
座る場所があれば、簡単にできるストレッチです。
- 1.浅く腰かけ、腰に手を当てる。
- 2.目線を前に、できるだけ肩の位置を動かさないように、骨盤を後ろへ(後傾)、前へ(前傾)前後にコロコロ20回程度動かす。
後傾
前傾
- 3.今度は、骨盤を左右に引き上げる。前後に動かすとき同様、肩の位置はなるべく動かさないように。
骨盤矯正はもちろん、骨盤と股関節の連動性も生まれ、普段反り腰を固定している骨盤周辺の筋肉の緊張を緩和させる効果があります。
<そけい部ストレッチ>
姿勢を保つのに欠かせない「腸腰筋」のストレッチです。
1.片ひざを曲げて、もう一方の足は後ろに伸ばす。
2.上体を前に倒して、ひじから曲げて床につける。
- 3. 上体を起こし、もう一方の足をじわーっと30秒間伸ばす。
※上体を起こせば起こすほど、ストレッチの強度が上がる。
腸腰筋は、背骨から骨盤を通り、太ももの骨までを結ぶ筋肉です。反り腰の場合、骨盤が前傾することで、腸腰筋は常に不自然に引っ張られ、がちがちに硬くなっています。
普段はほとんど行わない動作なので、腸腰筋が硬い人ほど伸びにくいと感じるはずです。
痛みのない範囲で、そけい部の伸びを感じながらストレッチしましょう。
<ひざ抱えゆらし>
1.仰向けになり、両膝を立てて片足ずつ膝を抱える。
2.腰のあたりがじわーっと伸びるのを感じながら、お腹の方に向かって、前後にゆらす。
痛くない範囲で10回程行う。
反り腰の人は、背骨の腰椎の部分が詰まった状態にあるので、このように伸ばしてあげることで、背骨の柔軟性が上がり、腰部の緊張した筋肉を弛めることができます。
◆まとめ
肥満でも、肥満ではなくても、ぽっこりお腹は起こりうるものです。
ぽっこりお腹の場合は、立っているだけでも腰に負担をかけている状態です。ストレッチも様子をみながら行い、痛みがあるようだったら控えましょう。
長年腰痛やぽっこりお腹に悩まされているという方は、ぜひ東葉コンディショニングにご相談ください。