超高齢社会を迎えた日本で、介護の問題は非常に大きく、他人事ではありません。
施設などで働いている方はもちろん、親御さんやご兄弟、親戚などの介護をしている、もしくは介護を視野に入れて生活している方も多いのではないでしょうか?
介護を身近なものと捉えている方には、それぞれに違った悩みがあるでしょうが、それらの解消に必要なものに、「笑顔」があります。
介護をする方、される方の腰痛や疲れなどのケアや、正しい身体の使い方を知ることで、少しでも負担を減らし、笑顔になれるとっておきの方法をご紹介しましょう。
【目次】
◆介護ってそんなにつらいもの?
「介護」と聞くと、大変、ツライ、疲れる……など、マイナスなイメージを持つ方がほとんどではないでしょうか。実際、人の尊厳や命に直接関わることですので、もちろん大変ではありますが、やりがいもあります。何より良い反応があった時の喜びは想像以上に大きいものです。
私は介護福祉士の資格を持っており、障碍者施設で働いていたので、大変さも喜びの大きさもどちらも経験しています。けれども、介護をするには体力も気力も必要なため、やはり大変だと思います。特に身体介護を必要とする方へのアプローチは、ともすれば「力任せ」になりがちです。
そんな「パワー介護」を続けていると、当然カラダには過度の負担がかかりますので、介護者=腰痛持ち、というようにセットで扱われる事態になっていくのです。
◆介護の基本!正しいカラダの使い方で腰痛にサヨナラ!
それではパワー介護を卒業するためには、何に気を付ければよいのでしょうか。
基本となるのは「カラダ全体を使うこと」です。聞いたこと、アドバイスされたことはある方もいらっしゃるでしょう。
でも、具体的にどうしていいかわからない……という方のために、実際に「人を押す」実験をして、力の伝わり方の基本を見てみましょう。
手のひらで押す
手の甲で押す
相手を突き飛ばすように押す動作をするとき、腰に手のひらを当てた場合と、手の甲を当てた場合では、後者の方が勢いがつきます。
(これを実験する時は、必ず受け止める役の人を用意して行い、ケガのないようにしてください。)
手のひらを使うと、腕だけの力で作業することになります。しかし手のひらを返すと、肩甲骨の角度が変わるため、「腕力」だけでなく肩や背中など「全身」の力を使えるようになります。
そのため、身体に少ない負担で力を効率良く伝えることが出来るようになるのです。けれども手のひらを反した状態で介護などの作業をするというのは難しい、というか無理です。そこで、肩甲骨の角度をキープしたまま、手のひらだけ戻す方法をご紹介しましょう。
1.手のひら内向き
2.手のひらが外に向く様に反す
3.肩から腕、背中の筋緊張はそのままで手のひらだけ戻す
写真1と2・3では、肘関節内側に貼ったシールの向きが違いますね。2の様に手を反した時の肩から腕、背中にかけての筋緊張を保ちながら手首だけを反し、手のひらを戻すと、3の状態を作れます。こうすることで効率良く力を伝達し、カラダを痛めない介護に一歩前進できます。
◆介護以外でも活用方法大!身体の負担を減らす
肩甲骨の角度を変えて全身を使うというのは、介護のような特別な場面だけでなく、例えばハンドバッグや重い荷物を持つときなどの日常生活でも役に立ちます。
多くの方は、左の写真のように手のひらを上にしてバッグを持っていると思います。
しかし、これを右の写真のように下向きにちょっと変えるだけで、腕の力で持つことから解放されます。
小さい事ですが、普段からのカラダの使い方を意識することで、介護の基本姿勢の練習になりますので、少しずつ試せるといいですね。
◆腰痛、イライラ、疲れなどがなければ介護が楽なのに……。
上手な身体の使い方ができたとしても、それだけで介護のツラさがなくなるわけではありません。
介護を必要とする「要介護者」さんだって、思うようにいかないイライラや、場合によっては痛みを抱えているかもしれません。
では、お互いに抱えている悩みには、それぞれどんなことがあるのでしょうか。
要介護者ご本人の悩みとしては、
・散歩などで歩ける距離が減ってきた。
・ちょっとした段差につまずくようになった。
・疲れやすく、動くのが億劫。
・介助が必要なため、家族の手を煩わせるのが申し訳ない。
・自分でできないもどかしさから、ついついイライラ、八つ当たりしてしまう。
そして、ご家族にはこんな悩みがありませんか?
・痛みを訴える要介護者さんをなんとかしてあげたい
・デイサービスやヘルパーさんが来ない時に、してあげられることがない。
・毎日介護をしていて、自分自身のカラダがツライ。
・できない事の多い要介護者さんに対して、イライラしてしまう。
など。
私たちは、介護を自分の問題として抱えている皆さんが持つ、このような悩みを解決するためには、『ココロとカラダのサポート』が必要だと考えているのです。
◆疲れや腰痛、イライラを吹き飛ばし、笑顔で介護ができるようになろう!
まずカラダのサポートですが、これは「姿勢」「呼吸」「血流」をバランスよく保てるようにすることです。
この3つはお互いに大きく関係し合っているため、1つが乱れると全てのバランスが崩れてしまいます。しかし逆にいえば、1つ整えることで全てが良い方向に向かうとも考えられますよね。
全身のバランスが整えば、自然と呼吸が深くなり、血流も良くなります。
すると、カラダの動きが良くなったり気持ちがリラックスする、また、免疫力や自己回復力が強まり、風邪や褥瘡(床ずれ)の防止にも役立つのです。
そしてココロのサポート。これはストレスをコントロールできるようになることです。
イライラするのは自然なことで、決して悪い事ではありません。ですが、その気持ちを切り替えられずに、いつまでも引きずっているのは、とても苦しいと思います。
このイライラの気持ちの切り替えるコツをつかめるようになると、思った以上に気持ちが冷静になることができるので、介護に限らず、人間関係を円滑に進めるのにとても役立つのです。
東葉コンディショニングでは、「家族のためのぬくもりボディセラピーゆらはんど」の講座を定期的に開催しています。
介護が必要な方には、要介護度の進行防止や軽減、寝たきり防止などを目的に、そして元気な方には健康寿命を延ばしていただきたいと思っています。
実際にゆらはんどに参加され、お母様の介護に役立てた方からは、こんな声も頂いています。
佐倉市 佐藤容子さま
【感想(要約)】
93歳の母は認知症が進み、身体も自由が利かない状態でした。何とか少しでも楽に過ごせないかと考えていた時に、ゆらはんどを知り受講しました。
寝起きもトイレも自力で動けず、起きても常に車いすという生活でしたので、少しでもカラダの緊張がゆるんで楽になるといいなぁと思い、毎日ゆらゆらしていました。
睡眠障害に困っていたのですが、ゆらはんどをするとびっくりするほど寝つきが良く、また、睡眠のリズムも落ち着き、夜中に目覚めたりすることが減ったことに気付いたのが1週間目。
2週間が過ぎる頃には、便通が良い状態が続くようになりました。便通の良し悪しが機嫌や身体の緊張にそのまま反映されるので、以前から投薬やお腹をさするなどしていたのですが、こんなにハッキリ結果につながることはなかったため、とても驚きました。
母は、年齢やそれまでの生活背景にしては、筋力が衰えていない方だった事もあり、1ヶ月を過ぎた頃にはトイレが済むと介助なしでつかまり立ちをしたり、ふと気づくと車椅子から自力で立ち上がっていたりと、嬉しいやら驚くやら、目が離せなくなりあわただしいやら……。
けれど、一番嬉しかったのは、母が笑うようになった事です。
排便のリズムが整ってくるに従って、意志疎通が全くできなかった母が、機嫌良く一言、二言と意味ある言葉をしゃべったり、食事時に「おいしい?」とかけた言葉に対して、にっこり笑って「うん」と返答をするようになったのです。
身体の緊張緩和はともかく、認知症に効果が出るなんて思ってもいなかったので、はじめは「うん」の返事に対して「え~っ!?」と声を上げてびっくりしてしまいました。
半年経った今では、ゆらゆらしながら身体の緊張をとり、お腹の調子を整えるのが日課です。
93歳と高齢な事もあり、状態は良かったり悪かったりと波もありますが、今の所、ゆらはんどを始める前より悪い事はありません。
これからも、毎日少しずつでもゆらはんどを続けることで、母に穏やかに過ごしてもらえるようにしていきたいと思ってます。
いかがでしたか?
皆さんもぜひ「ゆらはんど」を学んで、佐藤さんのように生活に役立ててくださいね。
家族のためのぬくもりボディセラピーゆらはんど!詳しくはこちら!
◆介護疲れや腰痛を解消させる整体施術とは?
自分ではどうしようもない腰痛や介護疲れに、整体院東葉コンディショニングで行う整体施術の一例をご紹介します。
骨盤調整シムス位
うつぶせで脚を開いた状態にし、骨盤をゆっくり揺らしていきます。左右同じようにおこなうことで、骨盤のゆがみが整えられていきます。この手法で、骨盤のゆがみを整え背骨の動きを改善し、さらに腰背部の筋肉の緊張をとっていきます。
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脊柱の生理弯曲の正常化
背骨は、体重の約10%といわれる頭の重さを支えています。成人の頭の重さは約6~8kg = ボーリング玉の16ポンド(7.2kg)です。その頭の重さを支えているのが、脊柱の生理弯曲と言われるS字カーブです。このS字カーブは、バネの役割をし、衝撃を和らげたりバランスをとったりしています。
脊柱のS字カーブの中でも重要なのが、腰椎と仙骨が接する適度な角度がついている部分です。この角度によって、理論上体重の約3倍の重力が腰部に加わっても、分散吸収してくれるのです。このように、腰部の生理弯曲を本来の形にすることは、その上にある胸部や頚部を安定させることにつながります。
整体施術では、脊柱の生理弯曲の正常化を図るため、写真のように施術台に上半身の半分程度が乗るように、四つん這いの姿勢になってもらいます。
四つん這いの姿勢をとることで、内臓から骨盤に掛かる圧迫を一時的に緩和することができ、骨盤周りの調整や生理弯曲の形成が行いやすくなります。
また、四つ這いの姿勢の状態のまま足首を回転させることで、下肢の緊張を緩和させることもできます。
側臥位肩甲骨調整
肩甲骨は胸郭の上に張り付いている構造をしています。横向きになることで肩甲骨を支えている筋肉に力が入りにくくなります。この姿勢で、肩甲骨を優しく揺らし、肩関節や肩甲骨周辺の筋肉を弛めていきます。
頸椎調整
当院が独自に開発した頸椎専用枕「センターラインピロー」を使って、あおむけで施術します。首に軽く触れて、ゆっくりと優しく揺らしていきます。こうすることで頸部周辺の筋肉の緊張を緩和し、頸椎の歪みを調整していきます。
◆介護疲れや腰痛のケアは、セルフストレッチで。
カラダに歪みがある状態では、腰痛はなかなか良くなりません。ちょっとした休憩のついでに、簡単にカラダを整えられるストレッチをご紹介します。
【足組ゆらゆら骨盤矯正】
<効果>
・骨盤の歪み矯正
・背骨の歪み矯正
・腰痛の緩和
・腰部可動域改善
【シムス位エクササイズ】
<効果>
・骨盤、背骨の歪み矯正
・首、肩周り、腰背部の緊張緩和
・股関節、肩甲骨の柔軟性・可動域改善
*痛みのない範囲で!
痛いことはなるべくしない方が、早い症状回復が見込めます。普段から痛い姿勢や動作は避けるようにしましょう。我慢してやる必要はありません。
*適度な回数で!
たくさんやればやるほど、良くなる訳ではありません。1回やって、次に行うまでは30分以上あけ、1日数回に分けてやる方が効果的です。
いかがでしたか。介護は心身ともに大変なものですが、ご自身と要介護者さんのカラダを上手にケアしたり、相談機関を上手に利用することで、行き詰まることがないように取り組みたいですね。
介護疲れや腰痛、その他身体の痛みや不調でお困りの方は、整体院東葉コンディショニングに是非ご相談ください。
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